セキュリティコンサルタントの日誌から

セキュリティに関するエッセイなど

5/27に監訳本『マスタリングGhidra』が発売されます!

『マスタリングGhidra ―基礎から学ぶリバースエンジニアリング完全マニュアル 単行本』(オライリージャパン)が、5月27日発売されます。

www.oreilly.co.jp

発売に先駆けて見本誌をいただきました!

Ghidraとは?

Ghidraとは、NSA(米国国家安全保障局)が開発したリバースエンジニアリングソフトウェアであり、2019年に公開され、デファクトスタンダードのツールであるIDA Proにも機能面で同等の豊富さを持っていることから話題になったツールです。

マスタリングGhidraとは?

本書(原題:The Ghidra Book: The Definitive Guide)は、『The IDA Pro Book』の著者であるChris Eagle氏と、コンピュータサイエンスの教授であるKara Nance氏によってかかれた本で、一言でいえばGhidraの全てが記載されている書籍です。Ghidraを使いこなしたい方、リバースエンジニアリングツールの技術を上げたいという方々にはお勧めの一冊です。

今回、訳者である中島 将太氏、小竹 泰一氏、原 弘明氏のご厚意により監訳として参加させていただき、微力ながら貢献させていただきました(一番頑張ったのは言うまでもなく、翻訳者と編集者の方々です)。

本書のオススメポイント

この記事では、監訳した観点から本書のオススメポイントについて紹介していきます。

  • Ghidraの全てがわかる!
    • 本書の最大の特徴はなんといっても、Ghidraというリバースエンジニアリングツールの全てがわかるという点です。原書・翻訳書共に600ページ越えの内容で、全ての内容が載っている本です。私も監訳するにあたり、こんなことができるんだという新しい発見の数々がありました。
    • Ghidraは、(NSAの内部で利用するために開発されたツールなので当たり前かもしれませんが)無償でありながら商用製品でもおかしくない機能が豊富に実装されていることから、現在各種のリバースエンジニアリング系トレーニングでも、Ghidraが使われるようになりました。IDA Proの良さもありますが、今後デファクトスタンダードとなってくるGhidraを知る上で最も良い著作になるでしょう。特に、リバースエンジニアリングをより深く知りたい学生・専門家の方々にとって非常に良い専門書となると思います。
    • 参考記事:SANS FOR610: Reverse-Engineering Malware – Now, with Ghidra | SANS Institute

  • リバースエンジニアリングの技術も豊富にわかる!
    • リバースエンジニアリング技術も豊富に記載されており、Ghidraでどのように解析するかも書かれています。例えば、難読化されたコードの解析、バイナリに対するパッチング技法など、技術に関する理論的側面、Ghidraでの分析方法などこちらについても豊富に記載されています。翻訳者が前回書かれた「リバースエンジニアリングツールGhidra実践ガイド」と、筆者が翻訳した「初めてのマルウェア解析」と併用していくことでさらに技術力を向上させることができる一冊だと思います。

非常によい書籍なので、ぜひ書店やAmazonで手に取っていただけると嬉しいです!